こんにちは。日本側メンバーの新井 元行です。
僕は東京大学大学院工学系研究科 技術経営戦略学専攻で、博士課程に在籍しています。持続可能な経済発展と、その実現に向けてステークホルダーが為すべき行動について研究しています。言い換えると、途上国にとって本当に意味のある開発・援助はどんなもので、そのために国際機関・政府・企業・NGO、そして僕達は何をすべきなのか、数字を使って考える、という研究です。
さて、僕がなぜD-Labを進めたいと思ったのか、これまでの僕の考え方の変化を追いつつお話ししたいと思います。
起点は高校~大学時代、人並に自分の人生の意味を考え始めていた僕は、その答えを宇宙に求めました。分からないことの答えは、よく分からない場所にあるんだろう、という感覚だったんでしょう、たぶん。というわけで、そのまま自然に機械工学の勉強を続けていましたが、宇宙開発の実態について調査活動を進めているとき、その本質的な課題は技術開発ではなく、マネジメントにあることに気づきました。
とはいえ、マネジメントなどまったく興味のなかった僕は、何も知りません。そこで、その考え方、方法論を身に着けるために、某ビジネスコンサルティング会社に入社することにしました。そこではビジネスの基本や、元々問題意識の高かった技術戦略/経営についてのノウハウを、コンサル業を通して学びました。一言で言えば、社会に求められていない技術は、開発しても意味ないですよ、ということを知ったわけです。
そんな感じで技術戦略/経営コンサルをしばらく続けていく中で、より質の高い仕事をするために、ノウハウの体系的な整理と、意見交換のできる新たな人脈が必要だと感じるようになりました。そこで、それを手に入れるために、再び大学に入学しました。2年ほど会社と大学の両方で活動していましたが、企業目線ではなく、国や世界のレベル感で議論が多く出る大学と関わることで、次第に自分の技術戦略/経営についてのノウハウを、もっと多くの人々の役に立てたいと思いはじめました。
この頃、自分の中のある変化に気づきました。自分の人生の意味は当初思っていたように遠い宇宙にあるわけではなく、もっと身近なところにあることが分かりつつある、そんな変化です。今まで自分にしか目がいっていなかったのが、少し視野が広がった感覚です。ということで、さらに視野を広め、その変化の先に何があるのか知るために、会社を辞めて世界を旅しました。
アメリカ、ベネズエラ、ヨーロッパ各国、バングラデシュ等々、色々な場所でたくさんの人々と話をしました。「おまえと知り合えてよかった」、「またいつでも泊まりにこいよ」、「今度はこっちが日本にいくよ」という話をするような、かけがえのない友達もできました。みんな感じ方や幸せを願う気持ちに違いはないことを知り、そして僕もまた彼らの幸せを願いました。同時に、旅の間会えなかった家族や友人のことも。人とのつながり、みんなの幸せの中に僕の幸せがあることを知りました。高校時代から続いていた、自分探しの旅が終わりました。
そして、そんなことを考えていた旅の途中、このD-Labと出会ったわけです。
他者の幸せを考える人が増えること、そしてその自由が等しくみんなにあること、これが僕の考える「よりよい世界」です。これを実現するには教育+実践が必要です。利他的な視点を持つ若い技術者を育てると同時に、途上国の人々を幸せにする実践的なしくみであるD-Labは、「よりよい世界」に向かうための、ひとつの可能性であると思います。
だから、ぜひとも実現させたいんです。
以上、今回の投稿ではD-Labを進めようと思った経緯について書きましたが、これからも調べたこと、感じたこと等、ブログにアップしていきたいと思います。よろしくおねがいします!
Monday, February 8, 2010
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